ケセラセラ通信日記 -2ページ目

「大阪アジアン映画祭」始まる

昨日(6日)から、第15回 大阪アジアン映画祭(OAFF)が始まった。15日まで。

期間中、私は8作品のQ&A(監督・出演者らと観客との質疑応答)の司会を担当することになっていたが、昨今の新型コロナウイルス対策で、すべてのQ&Aが中止になってしまった。その準備に充てる時間が空いたので、今日から、観た映画の感想を書いていこうと思う。

オープニングに先立つ1本目は、韓国映画『君の誕生日』(Birthday/イ・ジョンオン監督)。2014年のセウォル号沈没事故で、高校生の息子を亡くした両親や友人たちの慟哭。見事に泣かされてしまった。

オープニングには、上倉庸敬(かみくら つねゆき)映画祭実行委員長だけが登壇し、沈んだトーンでご挨拶。Q&Aや舞台挨拶ができなくなったことに対するお詫びが続いたが、「そんなに謝らなくても」と思った。しかし、《隣人が一人でも苦しむとき、その一つの苦痛は、多くのなかの一つではなく、私たちにとって、かけがえのない、100パーセントの苦痛です。》という言葉には感動した。

それに続くオープニング作品は、マレーシア映画『夕霧花園』(The Garden of Evening Mists/トム・リン監督)。日本庭園、折り紙、刺青などの「日本文化」を好いていてくれるのは分かるのだが、なんか違うんだなあ。最後の謎解きも、要領を得ず。こちらのアタマが悪いせい? なぜこれをオープニング作品にしたのか、プログラミング・ディレクターの暉峻(てるおか)さんに訊いてみたい気がした。

映画『アイニ向カッテ』

シネ・ヌーヴォXで『アイニ向カッテ』。高山康平監督も舞台挨拶に来てくださった。

同作は、2018年の大阪アジアン映画祭で上映され、私がQ&Aの司会を務めた。

そのときは「暗い映画だなあ」という印象が強かったが、今回あらためて観直してみて、「これは名作だ!」と思った。

主人公たちの感情や思いが的確に表現されていて、グイグイ引き込まれてしまう。76分間、集中して観ることができた。

売れない漫画家・昭輔は、ほぼアルコール依存症。同棲している泰子は、そんな彼を立ち直らせようとするが、昭輔のほうは彼女の優しさに甘えてしまい、酒を断てないばかりか、かつて別れた女(佐和子)への執着を捨てきれない。

私は昭輔のダメ男ぶりに自分を重ねてしまうのだが、ふたりの女性の態度や言葉にも納得できた。

高山監督いわく「暗い映画、とよく言われるんですが、ポジティブな面も見てほしい。愛というものの実体はよく分からないが、それを求め、そこに向かっていこうとする姿勢は尊いと思うんです」と。

前半のかそけき音楽もお聴き逃しなく。パンフレット(800円)も充実してます。2月28日まで、シネ・ヌーヴォXで。

 

病院にて

病院で定期検診。異常なし、とのこと。え? と思ったのは、「やや塩分とりすぎ」と言われたこと。その自覚はない。「外食中心だと、どうしてもそうなる」のだとか。さて、どうしたものか。

新型コロナウイルスが日本にも入ってきたこの時期、どこへ行ってもマスクが売り切れなので、病院で処方(?)してもらおうと思ったが、ダメだった。でも、ひとつ面白かったのは、「マスクは感染予防にはあまり効果がない。ただ、良い点は、鼻や口に(あちこちをさわった)手で直接触れるのを防げること」という医師の言葉。なるほどなあ、と思った。しかし、マスクは手に入らない。さて、どうしよう。

待合所で精算を待っていると、近くの席でエグい咳をしているおばあさんが。その連れ合いらしきじいさんが「マスクしてこいて言うたやろ」と。「じゃまくさいし、うっとうしいから」と、おばあさん。微笑ましくもあるが、マスクを着けない理由がなんとも自己中だ。会話の途中にも、盛大な咳。私は、そっと席を離れた。

さて、病院での支払いは5050円、さらに薬局で5640円。こればっかりは、どうにもならない。

 

セッパラム文庫、移転に苦戦

皆さまご存じの(?)藤井幸之助さんが主宰する「みんなのまちの人権図書館 猪飼野セッパラム文庫」が移転しようとしている。

来春、現在の大阪市天王寺区から生野コリアタウンへ。文字どおり「猪飼野」文庫になるわけだが、これまでに収集した資料や文献がハンパなくあり、引っ越しは大事業であるようだ。そのため、移転・改装費用(200万円!)をクラウドファンディングで集めようとされているが、苦戦中とのこと。

10月29日には、朝日新聞(大阪版)朝刊に以下の記事も出た。

https://www.asahi.com/articles/ASMBJ51BPMBJPTIL013.html

これが多少の追い風にはなっているようだが、目標額にはまだまだ遠い。ご興味がおありの方は、朝日の記事を読み、クラウドファンディング(CAMPFIRE 猪飼野セッパラム文庫―移転・改装費用募集!)にも協力してあげてほしい。

クリス・マルケル特集

シネ・ヌーヴォで「クリス・マルケル特集2019 永遠の記憶」を観る。今日(12日)で、今回上映中の8本をすべて観たことになる。
私のオススメは『サン・ソレイユ』(1982年)と『レベル5』(1996年)。どなたの執筆か分からないが、パンフレットに掲載されている『レベル5』のあらすじは、ちょっと違っていると思う。それにしても、沖縄戦についてここまで調べていることに脱帽。
日本初公開だという『イヴ・モンタン〜ある長距離歌手の孤独』(1974年)も拾い物。私が抱いていたイヴ・モンタンのイメージとは異なるが、それがこのドキュメンタリーの面白さでもあろう。
明日からでも全8本を観られるので、是非。

シネ・ヌーヴォ若返る!?

今日(13日)は、シネ・ヌーヴォが若返ったように感じられた一日だった。

 

まず、若き映画研究家の北村匡平(きたむら きょうへい)さん(37歳)が、「京マチ子映画祭」の一本『浅草の夜』(監督:島耕ニ)上映のあと、短い舞台あいさつ。明日(14日)は、朝10時20分からの『細雪』(監督:島耕ニ)上映後にトークショーをしてくださる。

著書も多数あって、『美と破壊の女優 京マチ子』(筑摩選書)、『スター女優の文化社会学ーー戦後日本が欲望した聖女と魔女』(作品社)、『映画監督、北野武。』(共編著、フィルムアート社)、『川島雄三は二度生まれる』(共編著、水声社)、『リメイク映画の創造力』(共編著、水声社)、『黒澤明の羅生門:フィルムに籠めた告白と鎮魂』(ポール・アンドラ 著・北村匡平 訳、新潮社)など。

 

次に、今日が初日の『君から目が離せない〜Eyes On You〜』の監督・篠原哲雄さん、主演の秋沢健太朗(あきさわ けんたろう)さん(30歳)、プロデューサーの馮啓孝(ひょう けいこう)さんが、舞台あいさつに駆けつけてくださった。ほぼ満席となった会場は、若い女性のお客様で90パーセント以上占められた。

 

そして、短い時間だったが、シネ・ヌーヴォ近くの水餃子が美味しい中華「吉林菜館」で、北村さん、秋沢さん、馮さん(女性です)を囲んで会食。映画にかかわっていなければ、こういう方々と知り合うこともなかっただろうなと、ありがたい気持ちになった。

黒木和雄監督のお墓参り

今日(12日)は、2006年に75歳で亡くなった黒木和雄監督の命日で、友人とふたりでお墓参りに行ってきた。そのお墓は、京都・鳴滝の山の上にある。同志社大学・岡本清一(政治学)ゼミ同窓生らの共同墓で、自然石の墓石には「自由」の二文字が刻まれている。大学のゼミ同窓生が同じ墓に入るなんて、すごい結束力だなと思った。みんな1950年代に同志社で学んだ人々である。

 

お墓参りのあとは、仁和寺で花見。ここの桜は種類が違うのか、未だ五分〜六分咲きであった。

 

夕方からは、映画『京極真珠』(1997年)の監督・佐藤訪米さんが20年ちかく店主を務めている「中華そば みみお」(左京区吉田下大路町)へ。佐藤さんとは初対面だったが、共通の知り合いが多数いて、初めてとは思えないほどだった。屋号の「みみお」は、坂口安吾の小説「夜長姫と耳男」から取ったという。よく食べ、よく飲み、最後はチャーシューメンに舌鼓。

 

帰宅は22時前。私も黒木監督の享年にだんだん近くなり、自分の人生の締めくくりをどうするか、意識の片隅で考えていた。

芝高康造展と『多十郎殉愛記』

今日(11日)は、日本橋のギャラリー「編(あみ)&かのこ」で開かれている芝高康造展に行ってきました。
http://ami-kanoko.com/2019/04/…
芝高さんは版画家。線と色が美しい作品でした。2階の過去作品を本に装幀した展示もお見逃しなく。4月27日まで。

 

明日(12日)は、中島貞夫監督が20年ぶりにメガホンを取った「ちゃんばら」時代劇『多十郎殉愛記』が公開されます。主演は高良健吾・多部未華子。12〜14日の間に観ていただければ、興行成績にプラスになるとか。時代劇ファンは是非!

6日の菖蒲

ある方からメールをいただいた。《とっくにお送りしたつもりでした。6日の菖蒲ですが。/さっそく、ありがとうございます。》とある。
しかし、私には心当たりがない。6日の菖蒲? 誰かに菖蒲を送られたのか。あるいは「勝負」の変換ミスか。いずれにせよ、どなたか別の人に送ろうとしたメールではないのか。
なので、《私あてのメールでしょうか?》と返した。
すると、《そうです。未送信ボックスに残っていました。すみません。》と返信が。
しかし、まだ分からない。《そうですか。でも、6日の菖蒲って、何のことでしょう。菖蒲湯は5月5日ですし……。》と私。
《こんなに遅い返信では、「さっそくのお返事ありがたく」の文面も時季外れなので、6日の菖蒲。》とまたお返事あり。
ここでようやく気づいた。「六日(むいか)の菖蒲(あやめ)」という言葉があるのだ。辞書には《「五月五日の節句の翌日の菖蒲」の意から、時機に後れて役に立たない物事のたとえ。》と出ている。つまり、「ありがとう」の返事が遅れてごめん、という意味のメールだったのだ。
いやあ、無知は恥ずかしいね。菖蒲湯は5月5日、と連想したあたりで気づくべきだった。最後の返信を繰り返し読みながら、一人で赤面していたのでした。

私もネット依存症?

昨日の撮影に行く前、あわてることがあった。突然、パソコンがインターネットにつながらなくなったのだ。メールの送受信もできない。なにしろ古いパソコンなので、ときどきこういうことが起きる。たいていは、あちこちいじくり回しているうちに回復するのだが、昨日は2時間ぐらい悪戦苦闘してもダメだった。 

そのうち、スマホも同じ状態なのに気づく。「ん? もしかして、電話料金が引き落とされていないのか」と思い、預金通帳を見てみた。やっぱり、今年の1月4日以来、引き落としの記録がない(つまり、銀行預金が足りなかったってことです)。NTTに電話して、確認。現金での振り込み方法を教えてもらう。郵便局へ行き、ATMで7983円也を送金。でも、あと一日二日はネットを使えないんだろうなと思っていたら、1時間後、スマホを見ると回復していた。すごい!

 

この投稿もそうだが、ネットがなければ日常生活が成り立たなくなっていることを実感した。また、事務的な味気ない内容であっても、郵便物はすぐに見なければダメだなと思った。今回のトラブルの原因も、「電話料金の引き落としができませんでした」という通知が来ていたのに、それを見落としていたからだ。 

皆さんも、どうぞお気をつけて。