映画『アイニ向カッテ』 | ケセラセラ通信日記

映画『アイニ向カッテ』

シネ・ヌーヴォXで『アイニ向カッテ』。高山康平監督も舞台挨拶に来てくださった。

同作は、2018年の大阪アジアン映画祭で上映され、私がQ&Aの司会を務めた。

そのときは「暗い映画だなあ」という印象が強かったが、今回あらためて観直してみて、「これは名作だ!」と思った。

主人公たちの感情や思いが的確に表現されていて、グイグイ引き込まれてしまう。76分間、集中して観ることができた。

売れない漫画家・昭輔は、ほぼアルコール依存症。同棲している泰子は、そんな彼を立ち直らせようとするが、昭輔のほうは彼女の優しさに甘えてしまい、酒を断てないばかりか、かつて別れた女(佐和子)への執着を捨てきれない。

私は昭輔のダメ男ぶりに自分を重ねてしまうのだが、ふたりの女性の態度や言葉にも納得できた。

高山監督いわく「暗い映画、とよく言われるんですが、ポジティブな面も見てほしい。愛というものの実体はよく分からないが、それを求め、そこに向かっていこうとする姿勢は尊いと思うんです」と。

前半のかそけき音楽もお聴き逃しなく。パンフレット(800円)も充実してます。2月28日まで、シネ・ヌーヴォXで。