「大阪アジアン映画祭」2日目・3日目 | ケセラセラ通信日記

「大阪アジアン映画祭」2日目・3日目

 

連日帰りが遅く、更新できなかったが、3月7日と8日に観た映画の感想を記しておきたい。

 

3月7日(土)は3本。

日本・香港・韓国映画『ある殺人、落葉のころに』(The Murders of Oiso/三澤拓哉監督)。2015年のOAFFで観た同監督の『3泊4日、5時の鐘』は、コミカルな群像劇という趣だったが、長編2作目にして、ずいぶん雰囲気が変わった。欧文タイトルにもあるように、湘南・大磯で育った4人の青年たちの、息詰まるような関係の物語。その変化は、香港版『十年』(大好き!)監督の一人ウォン・フェイパンらと三澤監督が知り合ったことが大きく影響しているようだ。これも「映画祭効果」のひとつだろう。

 

日本映画『VIDEOPHOBIA』(VIDEOPHOBIA/宮崎大祐〔だいすけ〕監督)。『大和(カリフォルニア)』(2016年)、『TOURISM』(2018年)の宮崎監督が、また新しい挑戦を見せてくれた。全編モノクロで、大阪が舞台。それも、鶴橋・十三・芦原橋・西成など、ディープな場所なのが嬉しい。今や私たちの日常と化したネット・監視社会の、ぞわぞわするような怖さ。クリアな音・音楽も素晴らしい。この人の映像世界は、どこまで広がるのか。

 

日本映画『東京の恋人』(The Modern Lovers/下社敦郎〔しもやしろ あつろう〕監督)。学生時代は自主映画制作に没頭していた男と、その恋人の、30歳を過ぎての「青春の終わり」をホロ苦く描く。恋人・満里奈を演じた川上奈々美のエロさ、可愛さに主演女優賞を。

 

3月8日(日)は2本。

韓国映画『マルモイ ことばあつめ』(Malmoe:The Secret Mission/オム・ユナ監督)。1940年代の京城(現ソウル)が舞台。日本による統治で韓国語の使用が禁止され、創氏改名が強制される中、民族の言葉を守ろうと、韓国語辞書の編纂に命をかけた人々のお話。史実を基にしているという。こういうテーマに、編集者である私はヨワい。憎まれ役の日本人官憲が、みな韓国人俳優であるのは仕方ないのか。日本での公開が決まっている。

 

香港映画『私のプリンス・エドワード』(My Prince Edward/ノリス・ウォン監督)。ブライダルショップで働く女性フォンと、写真店オーナーのエドワードとの恋愛・結婚をめぐるお話。フォンは10年前、貧しさから抜け出すために、中国から来た男と偽装結婚していた、というあたりが、香港の実情を反映しているのだろう。エドワードからの束縛、彼の母からの干渉にウンザリのフォンは、自由になりたいと願うが、その「自由」は、いま香港の人々が切実に希求している「自由」と、どこかで通底しているのだろうか。